BENNY RIDES AGAIN (MCA Victor) |
| - Eddie Daniels & Gary Burton |
|
|
Eddie Daniels (tp) Gary Burton (vib,xyl) Malgrew Miller (p) Marc Johnson (b) Peter Erskine (ds,per) 1992/01/17-19 |
|
|
|
クラリネット奏者のエディ・ダニエルズと、ヴァイブラフォン奏者のゲイリー・バートンが双頭リーダーとなり、ベニー・グッドマンに捧げたアルバムが『ベニー・ライズ・アゲイン』だ。 30〜40年代に演奏されたベニー・グッドマンのナンバーを、半世紀以上を経た90年代に再演し、現代風にスマートにリメイクを施し、蘇らせようというのが本アルバムの企画趣旨だ。 ベニーの代表的レパートリーの《メモリーズ・オブ・ユー》をはじめ、《シング・シング・シング》や《アヴァロン》も取り上げられているが、同じ曲でも、時代と演奏者が変わるだけで、これほどまでに肌ざわりの違う作品に仕上がるものかと驚くことだろう。 エディ・ダニエルズのクラリネットは、ベニー・グッドマンのふくらみと広がりのある音色と比較すると、やや音の芯の締まった音色で、クラリネット特有の物憂げな音色がより一層強調されているように感じる。 その分、スピード感の伴ったクラリネットともいえ、ピーター・アースキン(ds) にマーク・ジョンソン(b) という現代風のリズムセクションのサポートに映えるクラリネットだといえる。 流麗なフレージング。早いパッセージも難なく吹きこなし、どの曲も余裕でこなすダニエルズ。 この破綻のなさは、共演するゲイリー・バートンのヴァイブ・プレイにもそのまま当てはまる。 4本のマレットを駆使するバートンの正確なプレイはあまりに鮮やか。 特に、ラストの《ノッキン・オン・ウッド》でシロフォンを連打するバートンのプレイは、素晴らしいテクニシャンぶりを見せつけると同時に、楽しさにもあふれた内容だ。 ベニー・グッドマンの演奏が頭から離れない私としては、どうしてもオリジナルの音色と、ダニエルズのクラリネットの音色を比較しながら聴いてしまうのだが、たしかにダニエルズのクラリネットにはベニーの「華やぎ感」や「開放感」に比べるといくぶんストイックな演奏に聴こえてしまう。 しかし、クラリネットの音色の違いはあるにせよ、ダニエルズも素晴らしいクラ奏者であることには違いない。 特に、彼の真価は高音域になればなるほど発揮される。 つまり、音域の高い演奏になっても音が痩せない。細くならない。ふくよかさを保っている。 クラ奏者でない者にとっては何でもないポイントかもしれないが、昔ブラバンでクラリネットを吹いていた女房によると、高音域でこれほどの円やかな音を流麗に吹けるようになるまでには、かなりの訓練と歳月が必要とのこと。 しかも楽器のヌケの良さも必須で、訓練、年季、楽器との相性という3つの要素があってこそはじめて得られる音色のようだ。 破綻のない演奏ゆえ、当たり前のように耳の右から左へと通り過ぎてしまいがちなクラリネットの音色。 しかし、1つ1つの音の背景には、我々の想像にも及ばぬ努力と鍛練の結果が凝縮されているのだ。 クラリネット奏者にとっては教科書のようなアルバムなのかもしれない。 |
| (2009/05/17) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |