ALLIGATOR BOOGALOO (Blue Note)
- Lou Donaldson

  1. Alligator Boogaloo
  2. One Cylinder
  3. The Thang
  4. Aw Shucks!
  5. Rev. Moses
  6. I Want A Little Girl

Lou Donaldson(as)
Melvin Lastie,Sr(cor)
George Benson (g)
Lonnie Smith(org)
Leo Morris(ds)

1967/04/17

時にはアルバムのライナー調にスタートしてみる。

ルー・ドナルドソン。アルト・サックス奏者。
1926年11月1日、ノースカロライナ州のバディン生まれ。
50年代初頭にニューヨークに進出し、ミルト・ジャクソンやセロニアス・モンクらと共演。次いでホレス・シルバーやクリフォード・ブラウンらとも共演し、ニューヨーク・ジャズ界で知られる存在となった。
初代ジャズ・メッセンジャーズのサックスも務めている。

50年代末頃からはブルー・ノートの看板サックス奏者となり、『ルー・テイクス・オフ』や『ブルース・ウォーク』などを発表。
と同時に、オルガンのジミー・スミスのバンドにも参加し、ジミー・スミスのリーダー作の『ハウス・パーティー』『ザ・サーモン』などでも注目を集めた。

以後、ビル・ハードマンとの自己のコンボで活動し、1967年にはR&B路線の『アリゲーター・ブーガルー』を発表。
このタイトル曲は、シングル・カットもされ、ビルボードのホット100にチャート・インするほどの大ヒットとなった。

さて、今回紹介する『アリゲーター・ブーガルー』は、ソウル・ジャズの先駆ともなるアルバムだ。
90年代初頭に「ソウル・ジャズ」の再評価の機運の中、真っ先に筆頭に挙がったのもこのアルバムなので、むしろ若い音楽ファンのほうが、この曲を耳にしていることが多いかもしれない。

ブーガルーとは、簡単に言ってしまえば、ラテンとソウル(R&B)の要素の混ざったリズムのこと。
カリブ周辺で発生し、ニューヨークに渡って形成された。
発生は60年代前期。そして、ピークを迎えたのが67〜69年頃。
ピークを迎えて、あとは長続きせずにすぐに廃れてしまったようだが、日本の歌謡界でも、このリズムを使った吹き込みが当時は多かったようで、ブーガルーで検索してみると、60年代末から70年頭の頃に吹き込まれたグループサウンズ(?)のシングル盤が紹介されているいくつかのサイトに辿り着いた。
すぐに廃れたと書いたが、後にサルサとして発展することになるリズムフィギュアでもある。

さて、このアルバムだが、オルガンがドクター・ロニー・スミス、ギターにはジョージ・ベンソンという、今から思えば豪華な布陣。
この面子、そしてジャケットなどから、「濃ゆい」内容を想像しがちだが、実際は意外と淡泊。そして軽やかであっさりとした演奏だと私は感じている。

「ピャッ・ピャッ」と合いの手を入れるオルガンと、どこまでも頑なに軽やかなレオ・モリスのドラムがタイトル曲の調子を決定づけている。
とても、ノリの良いブルースだ。
しかし、踊らずに「聴く」だけだと、ちょっと単調で退屈な感じは否めない。

タイトル曲や《ザ・サング》のようなキャッチーな曲もたしかに楽しいが、むしろ私の場合は上記2曲以外のスロー&ミディアムなテンポで迫る演奏のほうに魅力を感じている。
これらのほうが、むしろネチッこくグルーヴしていると思うのだが。

もちろん、グルーヴするリズム的な面白さを評価することに吝かではないが、私がこのアルバムに親しみを感じる最大の理由は、ルー・ドナルドソンのサックスが、あたかも口笛や鼻歌のごとくさらりと吹かれているからだと思う。
肩にまるっきり力が入ってないほどのリラックスした調子で、軽やかに吹かれるルーのアルト。この軽やかさが私にとっての本作の魅力だ。

バップの頃のルードナ、ソウル路線のルードナとハッキリと二つに区分して、「ソウル派」「バップ派」となにやら「派閥」分けをするような向きもあるが、ルードナの本質はそれほど「〜派」と明確に区分出来るほど変わっていやしない。

たしかに、デビュー仕立ての頃と、R&B路線の演奏では、バックのリズムや吹かれているフレーズは違う。
しかし、逆に言えば、違うのはリズムとフレーズだけなのだ。

軽やかな調子で、あたかも口笛のようにサラリと吹くルードナは、いつだって一聴してルードナだと分かる味の持ち主。ルードナの本質は、スタイルではなく、あたかも口笛を吹くように軽やかな歌心。これに尽きる。

そういえば、JBホーンズで有名な、メイシオ・パーカーのサックスもヘヴィーとは言い難い、むしろ軽やかで澄んだ音色だ。
グルーヴするリズムには、軽やかな音色のほうがマッチするのかもしれない。
(2002/09/15) 


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