THREE QUARTETS (Stretch) |
| - Chick Corea |
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Chick Corea (p) Michael Brecker (ts) Eddie Gomez (b) Steve Gadd (ds) 1981/01-02月 |
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珍しく、重いチック。 ひらりひらりと鍵盤の上を華麗に舞うチックのピアノは、良くも悪くも軽やかな印象を抱きがちだ。 しかし、このアンサンブルの中から立ち上がるチックのピアノは、重い。いや、アンサンブル全体が重いゆえ、チックのピアノも重く感じるのか。 テナーサックスは、マイケル・ブレッカー。 彼の参加が重さに拍車をかけていることはいうまでもない。 くわえて、俊敏なスティーヴ・ガットのドラミングと、中音域のブーミーな音色で前へ前へと繰り出してゆくエディ・ゴメスのベースのコンビネーションが、抜群のウネリと重量感を演出している。 全員が白人。 しかし、黒人のまったりと重さとは別種の、鋭い重さを誇る重量級のテナー・カルテットが本アルバムなのだ。 何の先入観も無く聴くと、一瞬マイケル・ブレッカーのリーダー作ではないかと錯覚をしてしまうぐらい、このアルバムの主役はブレッカーといえるかもしれない。 後輩・ブレッカーの“旨み”を抽出すべく、彼のサックスの音色、フレーズにフィットしたピアノを弾くチック。 和音を垂直にガンガン叩き降ろすようなバッキングを執拗に重ねているのが印象に残る。これが、うまい具合に演奏の中の“重し”として機能しているのだろう。 しかし、エディ・ゴメスのベースは手放しで賞賛するわけにはいかない。 ボンッ!ではなく、独特のヌルッ!とした音色で刻まれるピチカートは、音色的にもノリ的にも、ガッドの鋭角的なドラムと絶妙なブレンドが施され、独自のリズムフィギュアを形成している。 つまり、バックにまわれば申し分ないベースとして演奏に貢献している。 しかし、ベースソロが音色で言いたいことが上滑りしているような、音程の悪いベースソロはいかんともしがたい。 特に《Quartet No.3/Quartet No.2》。 この曲は、ベースソロを長めに設けたほうが、演奏の流れ的にもメリハリがつくことは分かる。 分かっちゃいるんだけど、ピッチの悪い音の速射砲のようなフレーズ、しかもソロの内容も、同じ内容の堂々巡りで、この演奏に関しては、深いところまではゴメスは切り込めていない。 ベースソロのスペースを長めに設定し、アルバム全体の流れにメリハリをつけようとする意図なのかもしれぬが、この音程、この内容であれば、もう少し短くても良いのでは?と思ってしまう。 唯一プラス面を上げるとしたら、不穏な効果を演奏に盛り込むことに貢献しているということだろうか。 ゴメスと組んだバッキングは素晴らしいが、どうも、この人の場合、ベースソロがいただけない。 ラストの《コンファメーション》は、ブレッカーのテナーとチックが叩くドラムとのデュオ。 CD化の際に追加収録されたテイクだが、ハッキリ言って蛇足。 オマケの域を出ていないが、オマケとして聴けば、まぁそれなりにチックの「ボク、ドラムも叩けるんですけど」な“余芸”は楽しめるかもしれない。 チックのドラミングは、もちろんリズムキープもしているが、それ以上に、ドラムで自由にメロディを叩いているといった趣き。余芸としては、なかなかだが、だからといって手放しに素晴らしいドラミングというわけでもない。 もっとも観賞用ではなく、楽器練習用のマイナスワン(自分の楽器のパートの演奏が抜かれた音源)としては使える。 《コンファメーション》を練習するベーシストやピアニストにとっては格好のマイナス・ワン音源ではある。 ブレッカーのリズムが正確だから、彼の吹くサックスに耳の焦点を合わせれば、4ビートの練習が出来るってこと。私は、いつもベースを弾きながらこの曲を聴いている。“鑑賞”するよりも“参加”してちょうど良い満足感を得られる演奏といえる。 と、ゴメスのベースソロと、チックのドラミングについてはマイナス評価かもしれないが、全体的なクオリティはかなり高い。 ダークで重く、聴けば聴くほど深みにはまってゆく演奏には違いない。 出だしのチックの重いピアノ、すぐさま覆いかぶさるブレッカーのテナーとリズムセクションを聴いた瞬間から、ただごとではない雰囲気に包まれること請け合い。 そう、冒頭から一気にリスナーの耳を掴んで離さないだけの音の力を持ったアルバムなのだ。 |
| (2007/01/10) |
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