SONNY'S CRIB (Blue Note) |
| - Sonny Clark |
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Sonny Clark (p) Curtis Fuller (tb) John Coltrane (ts) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds) 1957/09/01 |
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ソニー・クラークがブルーノートに吹き込んだ初リーダー作『ダイヤル・S・フォー・ソニー』より、約1ヶ月半後に録音された本作は、ジョン・ゾーンの再演で有名になった《ニュース・フォー・ルル》が収録されていることで、一時期注目を集めた作品としても有名だ。 「ルル」とは、ソニー・クラークが飼っていた犬の名前で、ハーフ・チャウ・アンド・ハーフ・ジャーマン・シェパードという雑種だそうなのだが、小さなチャウチャウと大きなシェパードが交わると、いったいどんな犬が生まれるんだろう?(笑) それはそうと、《ニュース・フォー・ルル》は、いい曲ですね。 曲の形式やリズム面、メロディが醸しだす雰囲気は、同じくクラークの名曲のほまれ高い《ブルー・マイナー》(『クール・ストラッティン』収録)に似ているが、《ブルー・マイナー》を「陽」とすると、《ニュース・フォー・ルル》のほうは微妙な陰りがメロディの皺に刻み込まれているので、これまた秀逸。 未聴の方は、『クール・ストラッティン』の《ブルー・マイナー》と聴き比べてみるのも一興だろう。 『ソニーズ・クリブ』は、コルトレーンとクラークとの唯一の共演盤。二の最初で最後の共演記録でもある。 この二人の相性はどうこう言う以前に、まあ単純に言ってしまえば、この時期のコルトレーンは、ピアニストが、クラークであろうと、レッド・ガーランドであろうと、ケニー・ドリューであろうと、彼のソロパートになれば、コルトレーン一色の世界になってしまう。 たとえば、このアルバム吹き込みからちょうど2週間後にレコーディングされた彼のリーダー作『ブルー・トレイン』と聴き比べてみれば、そのことがよく分かるだろう。 『ブルー・トレイン』は、カーティス・フラーとポール・チェンバースが『ソニーズ・クリブ』とは同一メンバーだが、ピアノがケニー・ドリュー、ドラムスがアート・テイラー、トランペットがリー・モーガンと、3人のジャズマンは『ソニーズ・クリブ』とは異なる。 にもかかわらず、コルトレーンが音を出している間は、はっきり言って『ソニーズ・クリブ』も『ブルー・トレイン』大差がない。 たとえば、『ソニーズ・クリブ』にはタイトル曲でもある《ソニーズ・クリブ》が収録されているが、このナンバーはアドリブパートはモダンジャズの典型的な「ツー・ファイヴ・ブルース」形式のブルース進行だ。 この曲と『ブルー・トレイン』のタイトル曲《ブルー・トレイン》を聴き比べてみると良い。この曲も《ソニーズ・クリブ》と同じく、モダンジャズでもっとも典型的なコード進行のブルースだ。 だからというわけでもないが、コルトレーンのアドリブにおいては、アプローチや出てくるフレーズ、展開のさせ方の発想がほとんど同じだ。 もちろん、たった2週間の間で同一コード進行のアドリブ内容が激変することは考えれないので、当時のメキメキと実力をつけてきている成長途上のコルトレーンのブルースプレイが記録されたこれら2曲は、たとえアドリブの展開が似ていたとしても、決してそれをもってしてツマラナイというわけではなく、むしろ、両方楽しめることは言うまでもない。 彼にしかなしえない独自のブルース解釈と、強引な腕力で時間の中に音を練り込むかのような奮闘ぶりを楽しめるからだ。 この強力なコルトレーンのテナーサックスの音の前には、リズムセクションの面子が誰であろうと、ほとんど変わらないということが浮かび上がってくる。 つまり、『ブルー・トレイン』のケニー・ドリュー&フィリー・ジョー・ジョーンズであろうと、このアルバムのソニー・クラーク&アート・テイラーであろうと、どうしても耳は頑張り屋さんのトレーン君の音に耳に吸い寄せられてしまうということ。 ソニー・クラークの前作『ダイヤル・S・フォー・ソニー』では、テナーサックス奏者はハンク・モブレイだった。 モブレイとクラークの場合は、お互いが微妙なニュアンスを引き立て合い、うまく両者の持ち味が溶け合っていたように感じる。 もっとも、モブレイの音がコルトレーンほどインパクトがないとも言えるのだが、それはモブレイの実力がコルトレーンよりも劣るからというわけではなく、単純に両者のスタイルや、演奏に求める姿勢の違いから生じる結果に過ぎないわけなのだが……。 テナーサックスが変わるだけでも、これほどまでにアルバムの佇まいが変わってしまう面白さを味わうためにも、是非、両アルバムをお持ちの方は、『ダイヤル・S・フォー・ソニー』と『ソニーズ・クリブ』を聴き比べてみて欲しい。 両アルバムともトロンボーン奏者のカーティス・フラーが参加している。 そして、面白いことに、ソニー・クラークのバッキングの良さが引き立ち、かつ耳の中にクラークのピアノが心地よくはいってくるのは、カーティス・フラーがソロをとっている間だということにも気づくことだろう。 やはり、フロントがコルトレーンほどの音の強さと個性を持った者の場合、あまりクラークの微妙なアヤとコクのあるバッキングは引き立たない、というよりも管楽器奏のほうに耳がいってしまい、ピアノのほうにまであまり意識がまわらないということが正直なところか。 そのいっぽうで、フラーのような、たっぷりと間を開け、音数もそれほど多くないタイプの管楽器奏者がフロントの場合は、クラークの絶妙なバッキングが引き立ち、ムズムズとした快感が襲ってくること必至。 コルトレーンの参加により、前作とはかなり音の佇まいが変化したアルバムではあるが、総じてアルバム全体のクオリティは高く、最初から最後まで、退屈する暇など一切与えてくれない、ノリの良いアルバムだといえる。 ソニー・クラークというピアニストの個性そのものよりも、ハードバップの魅力を存分に味わえる好盤ともいえ、ジャズ喫茶に似合う名盤だということも最後に付け加えておきたい。 |
| (2011/02/09) |
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