PARADE (Milestones)
- Ron Carter

  1. Parade
  2. Theme in 3/4
  3. Sometimes I Feel Like a Motherless Child
  4. Tinderbox
  5. Gypsy
  6. G.J.T.

Ron Carter (b,piccolo bass)
Joe Henderson (ts)
Chick Corea (p)
Tony Williams (ds)

with

Jon Faddis,Joe Shepley,John Frosk (tp,flh)
Urbie Green (tb)
Tom Malone (bass-tb)
Jerry Dodgion (fl,cl)
Frank Wess (fl,cl,ts)

1979年

ズレた音程で、プッスンプッスンと延々とソロを取る冒頭のタイトル曲でまず腰砕け。

気持ちは分かるけど、もういい加減にしてよ〜と思いつつも、結局最後まで聴いてしまうのは、決してロン・カーターのプレイが良いからではなく、曲想とアレンジが良いからなのだろう。

まずは最初のピッコロ・ベースをたっぷりとフィーチャーした《パレード》で微妙な気持ちになってしまう『パレード』だが、私はこのアルバムのこと嫌いではない。

ひどいピッチで、フンガフンガと頑張るピッコロ・ベースのソロは勘弁して欲しいが、それを覗けば、けっこう聴ける内容が多いのだ。

ジョー・ヘンダーソンがテナーサックスで、チック・コリアがピアノで参加していることが、このアルバムの価値を大きく底上げしている要素の一つでもあるのだが、とにかく彼らの好サポートも聴きどころのひとつ。

そして、バッキングに回ったときのロンのベースなら普通に聴ける。

そう、ロン・カーターはベースソロをとってはいけない人なのだ。
いや、たまにとるのはいいのだけれども、それでも短い時間でコンパクトにまとめて欲しい。

本人はピッコロベースをフィーチャーしてメロディを奏で、脇役楽器だったベースを表舞台に引きずりだし、立派なソロ楽器としても通用することを主張したつもりなのだろうが、皮肉なことに、ロンの魅力はソロプレイではなく、バッキングにある。

たとえば、《ジプシー》を聴いてみて欲しい。
この鬼気迫る4ビートの“刻み”こそがロンの本領。マイルス・クインテットで鍛え上げられたセンスなのだ。

ユニークな音づかい。
プッスンプッスンと詰まり気味の音価が緊張感をたたえて疾走したときに生まれる、何ともいえぬ黒さ。
時折効果的に使用されるフェイクや、同じパターンのリフレイン。

この緊張感こそがロンが奏でる4ビートの魅力なのだ。

本人としては、リード楽器としてのベースにスポットを当てたいのだろうが、残念ながら彼がメロディックに奏でるソロベースには聴くべきところがあまりない。

反対に、メロディを一切奏でない演奏になればなるほど、ロンの素晴らしさが増すのだから面白い。

たとえば、《ジプシー》のベースソロ。
これは、絶品だ。なぜなら、メロディを一切奏でていないから。
とにもかくにも4ビートのランニングだけで押し切るベースソロ。これぞベーシスト、ロン・カーター!と唸らずにはいられない素晴らしいベースワークだ。

《ジプシー》こそがこのアルバムのハイライトだし、この1曲があるからこそ私は『パレード』を駄盤と切り捨てることが出来ないのだ。

次点は《ア・タイム・イン・3/4》か。
弦高低めのセッティングゆえ、サスティンの長い弦の響きと、ロン・カーター以外のベーシストは決して出せない(出さない?)独特すぎるベースの音色が楽しめる。
ジョーヘンのソロも良い。

スローテンポゆえ、ロンのベースラインの1音がズーーーーンと長く、この1音の沈んでゆくような、たっぷりとした長い音色は、好き嫌いが分かれることだろう。

もう1曲、ロンのベースのユニークさを味わえる曲を挙げるとしたら、《ティンダーボックス》か。

平凡なブルース進行の曲ではあるが、逆にロンのベースラインの組み立て方、アプローチのユニークさがハッキリと分かる演奏だ。
ただし、冒頭の、“プィ〜ン”と極端に弦をスライドさせるのはカンベンして欲しいが。
ただ、途中に思いもよらぬ装飾音を混ぜながら、4ビートを刻むロンのベースは、独特の音色とノリがあり、これはこれで一つの大きな個性だということは間違いない。

とにもかくにも、
4ビートの“刻み”に徹すれば撤するほどロンは素晴らしいベースを奏でる人。
メロディにこだわればこだわるほど、ロンは腰砕けなベースを奏でる人。

『パレード』は、この2つのことがハッキリと分かるアルバムなのだ。
(2009/12/27) 

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