GO MAN! (Liberty)
- Sonny Criss

  1. Summertime
  2. Memories Of You
  3. Wailin' With Joe
  4. How Deep Is The Ocean
  5. The Blues For Rose
  6. The Man I Love
  7. Until The Real Things Come Along
  8. Blue Prelude
  9. After You've Gone
  10. Come Rain Or Come Shine
  11. Hoe High The Monn (Ornithology)
  12. If I Had You

Sonny Criss (as)
Sonny Clark (p)
Leroy Vinegar (b)
Lawrance Marable (ds)

1956/02/24

ソニー・クリスが好きなので、全部ではないが、彼の音源はかなり聴いたし、聴き込んだつもりだ。

その中で、もっとも苦手なのが『ゴー・マン!』。
彼の代表作の筆頭に挙がるアルバムのようだが、他にもっと良いアルバムがあるのに、何故これが代表作に挙がるのかがよく分からない。

いや、本当は分かっているんだけれども(笑)。
このアルバム、BGMとして聴くぶんには全く問題ないのだが、真剣に聴いていると、次第に飽きてくる。
理由は、同じクオリティの演奏が金太郎飴のように均等に並んでいることによる単調さ。
つまり、原因はミュージシャン側ではなく、制作、編集の側にあるということだ。

冒頭の《サマー・タイム》を筆頭に、有名曲が目白押し。しかも、ほとんのど曲が2、3分という手頃な演奏時間のアッサリ仕上げ。

「このアルバムは、演奏時間が手頃で、聴きやすくてイイですよ。この中から2〜3曲ぐらいはアナタ好みの曲が見つかりやすいんじゃないの?」

制作意図はべつにそれでも良いのだが、問題は、中身だ。良い駒がたくさん揃っているのに、各々の駒が良さを相殺し合っているような気がしてならない。

ピアノがソニー・クラーク、ベースがリロイ・ヴィネガー、ドラムがローレンス・マラブル。西海岸のベテラン・リズムセクションだ。そりゃあ、彼らほどの腕になれば、提示された12曲をパッパカと次から次へとこなすことは容易いことだろう。

しかし、私がこのアルバムが苦手な理由は、クリスやサイドメンの演奏が理由ではなく、まさに“選曲”、つまり“アルバムそのものの作り”なのだ。
どの曲も金太郎飴的に平板に聴こえ、次第に飽きてくるのは、決して演奏のせいではなく、2〜3分で有名曲を演奏させ、メリハリのない曲構成をしたプロデューサーのセンス、力量のせいだと思う。

一曲、一曲の演奏は悪くない。いや、むしろ簡潔にまとまっていて、非常にスッキリと聴きやすい出来。
クリスのアルトは熱量たっぷり。リズムセクションは悪かろうはずもなく、ひたすら主役のクリスを立てようと職人芸に徹している。

しかし、このような「有名曲・簡潔・スッキリ」な演奏が12曲均等に並んだらどうなる? まるで、シングルA面の集大成のようではないか。
しかも、演奏者も演奏のコンディションも同じ状態の均質な曲ばかりが並んでいるために、アルバムとしてのメリハリ、流れが感じられない。

リスナーの気分転換、箸休め的な曲が配されず、ゆえに、最後はどれも一本調子な演奏に感じてきてしまうという悪循環。せっかくの有名スタンダードに、せっかくの良い演奏。それなのに、それらの要素をアピールしきれないアルバム構成。ゆえに、演奏の良さが印象に残らずじまいではないか。

CDの時代なら、まだそれも許されるだろう。最初から最後まで通しで聴くリスナーばかりとは限らないし、流れに単調さを感じたら、それこそ好みの曲をサーチして聴けばよいのだから。

しかし、これはLP時代に吹き込まれたアルバムだよ? 一曲目から針を下ろし、片面の最後まで聴くリスナーが圧倒的に多い時代に、このような選曲配分は如何なものだろう?

ジャケットは、クリスを写さず、若い男女がスクーターに乗る写真。
さりげなくタイトルに則ったビジュアルで、小粋なフレヴァーを醸し出している。
「売れるアルバム」としての作りはシッカリしている。

何を持って成功、失敗と言うのかは、ゴールをどこに設定するかによって変わってくる。
もし、このアルバムの目標が「売れるアルバム作り」ならば、この商品としてのアルバムは成功だろう。

しかし、製作者が念頭に置いていたかどうかは分からないが、「ソニー・クリスの魅力を活かし、最良のカタチでリスナーに届ける」ことがゴールだとすれば、残念ながら疑問符を打たざるを得ない。
(2006/04/18) 


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