DIAL "S" FOR SONNY (Blue Note) |
| - Sonny Clark |
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Sonny Clark (p) Art Farmer (tp) Curtis Fuller (tb) Hank Mobley (ts) Wilbur Ware (b) Louis Hayes (ds) 1957/07/21 |
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ソニー・クラーク26歳の生日に吹き込まれた、彼の初リーダー作だ。 キャリアの初期は、西海岸を活動拠点にピアノを弾いていたソニー・クラーク。特にクラリネット奏者、バディ・デフランコのグループでの活躍が有名だ。 しかし、「西海岸のジャズはクラシックを結びつけたり、室内楽的のものを演奏したりと、自分がやりたいジャズとは違う」と、ウエストコーストのジャズに違和感を覚え、本当に自分がやりたいジャズを求めて東海岸(=ニューヨーク)に活動拠点を移したソニー。 そんな彼の演奏に注目したのは、ブルーノートのオーナー、アルフレッド・ライオンだった。 ライオンにソニーを紹介したのは、同じソニーはソニーでも、テナーサックスのソニー。そう、ソニー・ロリンズだった。 ロリンズのリーダー作『サウンド・オブ・ソニー』が、ソニーとソニーの出会い。 どうやら、サックスのソニーはピアノのソニーを気に入ったようだ。 まずライオンは、様子見も兼ねてか、ハンク・モブレーのリーダー作『ハンク・モブレー』にソニー・クラークをサイドマンとして参加させた。そして、その1ヶ月後の彼の誕生日に彼の初リーダー作を録音するお膳立てをした。 フロントは3管。 トランペットにアート・ファーマー、テナーサックスにハンク・モブレイ、トロンボーンがカーティス・フラー。この3人の音色のバランスがとても絶妙だ。 特にアート・ファーマー効果が効いている。彼のブリリアントで軽やかな音色と演奏が、3管編成独特の鈍重さを軽減し、ホーンアンサンブルのテイストはスムースですらある。 このアルバムを聴くと、まずはホーン陣のプレイに耳がいくだろうが、バックのクラークのバッキングの巧みさにも注目して欲しい。 必要以上に前へ前へと煽る伴奏ではないが、手堅くフロントの管楽器のアドリブを少ない音数と効果的なタイミングでガッシリと受け止めているのが特徴。 いったんこの魅力に気がついてしまうと、耳がホーンそっちのけで背後で控えめに鳴るクラークのピアノばかりを追いかけてしまうこと請け合い。 それぐらいクラークのバッキングは地味だが、かなり気持ちがいいのだ。 適度にこってりとして、マイルド。 もちろん、ピアノソロも味わい深い。一音一音を丁寧にゆっくりと空間に置くかのようなシングルトーンは、クラーク独特の粘りとノリだ。 特にアルバムのラストを飾る《ラヴ・ウォークト・イン》は、ピアノトリオの編成で演奏されているが、彼のコクのあるピアノをたっぷりと味わうことができる。 『ダイアル・S・フォー・ソニー』は、聴いて安心、聴きこんで納得の、典型的なハードバップといえる。そう、典型的だから良いのだ。 まろやかなるエモーション。適度な湿り気と哀感。 これこそが、今後ブルーノートで多くの演奏をこなしてゆくソニー・クラークの世界が過不足なく提示されており、名盤『クール・ストラッティン』の《ブルー・マイナー》のような看板曲はないが、アルバム全体を彩るおだやかな灰白色的色彩はまさにクラークにしか出せないサウンドカラーといえよう。 地味だがじわりと染みてくる演奏の数々。長い時間をかけてじっくりとつきあえる好アルバムなのだ。 ちなみにタイトル曲は、フレデリック・ノットの小説をヒッチコックが映画化した『ダイヤル・M・フォー・マーダー』のもじり。 |
| (2008/08/25) |
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