BLUE SERGE (Capitol) |
| - Serge Chaloff |
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Serge Chaoff (bs) Sonny Clark (p) Leroy Vinnegar (b) Philly Joe Jones(ds) 1956/03/04 |
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ピアニスト、ソニー・クラークは伴奏の達人だった。 これはもう飽きるほど言われつくしたことなのかもしれないが、それでも西海岸時代のクラーク参加の音源を聴くと、溜め息が出るほど「伴奏の達人」という言葉に頷きの連続なのだ。 クラリネット奏者のバディ・デフランコ、 ギタリストのジミー・レイニー、 ヴォーカルのビリー・ホリデイ、 ヴィブラフォン奏者のカル・ジェイダー、 アルトサックス奏者のソニー・クリス、 トロンボーン奏者のフランク・ロソリーノ、 ドラマーのローレンス・マラブルやスタン・リーヴィー、 ベーシストのハワード・ラムゼイ、 テナーサックス奏者のボブ・クーパーがオーボエを吹くバックで…… などなど、例を挙げればキリがないほど、ソニー・クラークは様々な楽器奏者がリーダーのバックで、彼らを引き立てつつも、「う〜ん、クラークだね!」としか言いようのない絶妙なバッキングで彼ら彼女らを盛り上げているのだ。 この時期のクラークのピアノの特徴は、ジャストかやや前ノリなところ。 油井正一氏が形容した「後ろ髪引かれるようなピアノ」のスタイルに落ち着いたのは、西海岸からニューヨークに移住した以降に確立されたスタイルで、それ以前のクラークのピアノは、西海岸の陽ざしよろしく、パリッ!と歯切れよく、シャキッ!としたメリハリがある。 にもかかわらず、ブルーノート時代に確立された「後ろ髪ピアノ」で認められる、粘っこく時間を転がすようなコンピングの萌芽はすでにこの時期から認めることが出来、興味深い。 と同時に、バッキングのセンスのみならず、『ブルー・サージ』でのソニー・クラークのピアノソロが、もうそれはそれは、口笛を一緒に吹きたくなるほど軽やかで歌心あふれているのだ。 ガシッリと手堅く時間の枠を構築するリロイ・ヴィネガーの低音の狭間を軽やかに縫うように紡ぎあげられるピアノの歌。 これがまた、素晴らしくて、歌心あふれていて、ソニー・クラークの魅力はブルーノート時代だけじゃないんだぞ〜!と思わず叫んでしまいたくなるほどの良さなのだ。 『クール・ストラッティン』だけ聴いて「いやぁ、ソニー・クラークっていいね」なんて言ってる人! キミはまだソニー・クラークの良さの半分しか知らない! あわてて西海岸時代のソニー・クラークや、タイム盤の『ソニー・クラーク・トリオ』も聴くべし! 西海岸時代のクラークの名演はたくさんあるのだが、聴きやすさや、楽器の音のバランス、メリハリの優れた作品といえば、やはり、バリトンサックス奏者のサージ・チャロフがリーダーの『ブルー・サージ』を筆頭に挙げたい。 肝心のリーダー、サージ・チャロフについてだが、バリトンサックスという重たい楽器を、重さをまったく感じさせずに、むしろ軽やかに吹いているところがポイント。 一瞬、テナーサックスのカルテットを聴いているような錯覚におそわれてしまうのはそのためだ。 扱いの難しい巨大な低音楽器を、スムースさと歌心で、サラリとしかし、奥行きのあるフレーズで、朗々と吹くサージ。 《ハンドフル・オブ・スターズ》での後半にでてくる、各楽器の掛け合いの中でさり気なくぶちかます16分音符の速吹き、 猛然とスウィングするB♭循環曲の《ザ・グーフ・アンド・アイ》、 《オールザ・シングズ・ユー・アー》のなにげないテーマのメロディの崩し、 ベン・ウェブスターばりにサブトーン(ススススという音です)を交えたバラード表現をみせる《ステアウェイ・トゥ・ザ・スターズ》の何気なく深いバラード表現……。 サージ・チャロフのバリトンサックス奏者としての真価が、“さり気なく”発揮されている好盤なのだ。 “さり気なく”というところがポイントで、一生懸命額に汗水流しているところがまったく感じられないゆえ、何気なく聴いていると、サラリと音が心地よく流れてゆくだけで、表現の深みにはなかなか気が付きにくいかもしれない。 もちろん、軽やかに聴きながしても素晴らしい演奏には違いないが、少なくとも最初の1回か2回ぐらいは、じっくりと落ち着いて隅から隅まで音に集中してみよう。 ジャケットも秀逸な、サージ・チャロフの代表作だ。 |
| (2010/01/08) |
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