AN EVENING WITH CHICK COREA AND HERBIE HANCOCK (Polydor) |
| - Chick Corea & Herbie Hancock |
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Chick Corea (p) Herbie Hancock (p) 1977/11月 |
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セシル・テイラー(p)のソロ作品を聴くと、「バルトークの影響が濃厚なんだな」と思われる局面が頻出するが、チックとハービーのデュオを聴いても、彼ら2人はクラシック、ことに近現代の音楽の素養があることが垣間見れる。 1978年初頭、2人のデュオ・ツアーのオイシイ部分が集められた『デュオ・ライブ』。 このアルバムの冒頭《ホームカミング》を聴くと、聴きやすいセシル・テイラー、もしくはバルトーク的色彩の濃いポップなノリの演奏が楽しめる。 間違いなく、このアルバムの白眉といえる《ホームカミング》は、一聴、ピアノによるフリージャズ的要素が濃厚な演奏ではあるが、おそらくはこの2人の“分かりやすいノリ”と、協調性のなせるわざか、鍵盤の連打などアグレッシヴなアプローチが展開されても、まったく難解さは感じない。 むしろ、誤解を招くかもしれないが、ポップなフリージャズにすら聴こえてくる。 たとえば、セシル・テイラーのソロ・ライブの名盤『サイレント・タン』や『インデント』などは、いきなり聴くと、難解かつ前衛なピアノに聴こえ、この手の音楽に慣れていない人は拒絶反応を示すかもしれない。 しかし、チックとハービーのバルトーク的香りの漂う《ホームカミング》の瑞々しいピアノ・デュオを聴いた後にセシルのピアノソロを聴けば、「なるほど!」と彼の音楽的な狙いがスッと分かり、一転してセシルのファンになる可能性も秘めているのだ。 難解な要素とポップなフィーリングを橋渡しする彼らは、ある意味「翻訳者」なのかもしれない。 それは、このアルバムにも収録されている《ラ・フィエスタ》や《処女航海》という名曲を作りだした作曲者としての側面、また、当時一世を風靡したリターン・トゥ・フォーエヴァー、ヘッド・ハンターズのバンドリーダーとして、そしてヒットメーカーとしての「聴き手に楽しみを提供する」精神を忘れないサービス精神がなせるものなのかもしれない。 もっとも、このアルバムで演奏される《ラ・フィエスタ》や《処女航海》は、聴衆へのサービスと、両者のリスペクトの意をあらわす「表敬演奏」の要素が強く(もっとも《ラ・フィエスタ》には現代音楽的な側面が出てきて楽しい瞬間が多いが)、むしろ自由に、そして互いの音楽的素養を最大限に引き出しながらも楽しげに2台のピアノが舞う即興演奏《ホームカミング》にこそ、2人の共演の意味があると私は見ている。 2人ともさすがにヒットを放つだけのことはある大物実力者同士、互いの音をとてもよく聴いていると思う。 両者とも饒舌ながら、まったく音が衝突しないのだ。 それでいて、必要以上に遠慮することもなく、演奏をエキサイティングに盛り上げるために次から次へと流暢で煌びやかなピアノが放り投げられてゆく。 ライバル同士とはいえ、さすがにベテランの2人。 決して論争には陥らない心地よい対話を楽しめる。 人気ピアニスト2人の顔合わせ企画以上の音楽的成果が、このアルバムには収められていることは確か。 まずは、一曲目をお聞きあれ。 なお、録音は右チャンネルがチック、左チャンネルがハービーになっている。邦題は『イン・コンサート(デュオ・ライブ)』。 |
| (2009/08/31) |
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