SLOW DRAG (Blue Note)
- Donald Byrd

  1. Slow Drag
  2. Secret Love
  3. Book's Bossa
  4. Jelly Roll
  5. The Loner
  6. My Ideal

Donald Byrd (tp)
Sonny Red (as)
Ceder Walton (p)
Walter Booker (b)
Bily Higgins (ds,vo)

1967/05/12

コテコテのソウルをジャケットから連想した人は、大ハズレ。
なかなか抑制の効いた知的なフィーリング溢れるジャズなのだ。

特に1曲目のタイトル曲の、イキそうでイカない寸止め感覚、爆発しそうな予感を漂わせながら、大きな爆発までいかない、だけれども、緊張感を維持させながら9分46秒を持たせる柔軟な音楽的体力、持久力には脱帽。

常に何かを暗示させ、次の瞬間、瞬間を聴き手に期待させるアレンジ。そして、それを裏付けるかのような重たいリズム。

リズムの粘りと腰の強さの勝利といえよう。

まさに、タイトルの《スロー・ドラッグ》は秀逸なネーミングだと思う。
じわじわ効いてくるんだよね、このマッタリさ加減。

漂う怪しさを演出する役どころとしてのソニー・レッドの起用は大正解。
彼のシャープなんだけど、どこか夢遊病者のようなプレイは、アレンジは大胆ながら、プレイ面では“バカ”になりきれないバードを脇から妖しく彩る。

また後半にかけ声のようなヴォーカルが挿入されるが、この声の主はなんとドラムのビリー・ヒギンズ。

リーダー、バードのプレイも、もちろん上出来だ。
ブリリアントで一直線なんだけれども、捻り加減も秀逸なドナルド・バードのトランペットの音色、プレイそのものも楽しめる内容となっている。

高域に濁りの無いバードのトランペットだが、そんな彼のプレイ面に焦点を当てるとすれば、特に《シークレット・ラヴ》や《マイ・アイディアル》が素晴らしい。

勢いにまかせず、かなり考えながら吹いていることがフレーズや間から伝わってくるが、だからこそ曲の持ち味が最大限に生かされるのだ。

名曲と評価の高い《ブックス・ボサ》も抑制の効いたアンサンブルが良し。
曲調やテンポからも、勢いに任せてドカーン!と行きたいところを、タメを効かせたアレンジで落ち着かせているところが、ミソ。なぜかというと、また聴きたくなるから。だから、しばらくの間、このアルバムばかり繰り返して聴いていた時期もあった。
仕事帰りにフラリと足を運びたくなるバーのような、そんな居心地の良さが、このアルバムには漂っているのだ。
(2006/12/03) 

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