ROYAL FLUSH (Blue Note) |
| - Donald Byrd |
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Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs) Herbie Hancock (p) Butch Warren (b) Billy Higgins (ds) 1961/09/21 |
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ドナルド・バードのブリリアントで抜けの良いトランペットと、ギザギザとした迫力で迫るペッパー・アダムスのバリトン・サックスとの相性は良い。 2人は58年に双頭クインテットを結成した。 結成間もなく、ニューヨークのファイヴ・スポットで吹き込まれたアダムス名義のライブアルバム『10・トゥ・4・アット・ザ・ファイヴ・スポット』を聴けばお分かりのとおり、トランペットとテナー、あるいは、トランペットアルトサックスの組み合わせとはひと味違うテイストのハードバップのサウンドを響かせた。 また、2年後の60年に吹き込まれた『ハーフノート・カフェ』(ブルーノート)のライブ盤でも2人の相性の良さを証明し、このアルバはバードのキャリアの中でも、ハードバップ期においての彼の屈指の名盤でもある。 さて、本作『ロイヤル・フラッシュ』だが、従来のバード、アダムスのコンビのサウンドに、さらに新しいテイストが加わっている。 ピアニスト、ハービー・ハンコックだ。 後にマイルス・クインテットに参加し、名声をとどろかせた彼も、当時は20歳の青年。 シカゴのクラブでピアノを弾いているところをバードにスカウトされてバンドの一員に収まった。 このアルバム全体に流れている、従来のハードバップのサウンドとは一線を画し、かつ、当時流行のファンキージャズのようなシンプル明朗な響きとも違う、もっと理知的な響きがこのアルバムに横たわっているのは、ハンコックのハーモニックセンスに負うところが大きい。 確実に新しい感覚が演奏にもたらされている。 特にバラードの《アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー》に注目。 バードの切ないトランペットをフィーチャーしたナンバーだが、バックで控えめながらも細やかにバードのトランペットを効果的に彩るハンコックのバッキング。 さらに、《ジョージーズ》のイントロでミステリアスなテイストを加味するハンコックのピアノには、後年、マイルスのグループで発揮するミステリアスな響きの萌芽がすでに認められている。 この細やかながらピリッと演奏を締める小技を効かせることが出来るハンコックのセンスこそがバードが求めていた新しい感覚なのだろう。 ハンコックを見出したバードの目に狂いはなかった。 バードのバンドに参加した8ヶ月後にハンコックはブルーノートから《ウォーター・メロンマン》で有名な初リーダー作『テイキン・オフ』を吹き込むことになる。 マイルスから誘いの電話がかかってきたら絶対に断るなよ。誰かのバンドに加入しているのか? と訊かれたら「いいえ、フリーです」と必ず言えよ、と強くハンコックに言い渡したのもドナルド・バードだ。 ハンコックは、バードに悪いと思いつつも、実際にマイルスからスカウトの電話がかかってきたら、「今はフリーです」と返答し、晴れてマイルスのバンドに加入することが出来た。後の活躍は皆さんご存知のとおり。 ドナルド・バードなくして、今のハンコックはなかったのだ。 ファンキーテイストのジャズからの脱却を計っていたバードに、新しい響きを提供し、大きな推進力を与えたハンコック。 「えいやー!」とノリ一発のジャズとは一味もふた味も違う、ファンキージャズ以上・新主流派ジャズ未満の「中間派」ジャズがハンコックとバードの個性が融合した『ロイヤル・フラッシュ』なのだ。 |
| (2007/08/17) |
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