MIDNIGHT SESSION (Electra→Savoy) |
| -Art Blakey and The Jazz Messengers |
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Art Blakey (ds) Bill Hardman (tp) Jackie McLean (as) Sam Dockery (p) Spanky DeBrest (b) 1957/03/08-09 |
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クレジットは、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズだが、第一印象はジャッキー・マクリーンのクインテットか?と思うほど、ジャズ・メッセンジャーズ色が無い。 典型的なハードバップのセッションという趣で、それはどれで悪くない。 マクリーンのアルトに、トランペットがビル・ハードマン。 ピアノとベースは無名だが、演奏自体はハードバップの「おいしさ」と「いきのよさ」を見事に体現している。 ジャズ・メッセンジャーズ色が感じられないのは何故か? 強いていえば、もう少し低音が欲しい。 そうテナーサックスだ。 あるいはトロンボーンでもいい。 アンサンブルに肉厚さがあってこそ、はじめてメッセンジャーズらしいサウンドと感じる私にとっては、テナーなり、トロンボーンなりの低音の無さと、それら楽器の音域をフルに活用したアンサンブルが聴けないと、どうも、単なるハードバップのセッションに聴こえてしかがたないのだ。 たしかに、初期のバードランドでのメッセンジャーズは、クリフォード・ブラウンのトランペットと、ルー・ドナルドソンのアルトサックスで、この『ミッドナイト・セッション』と同じ楽器編成ではあった。 しかし、バードランドでの演奏は、中にはジャムセッション風の演奏もあるものの、練られたアレンジと、アレンジに縛られすぎない奔放で熱いプレイが繰り広げられていたので、うーん、さすがブレイキーのバンドだ!と思わせるサムシングがあった。 しかし、この『ミッドナイト・セッション』は、たしかにテーマ部おアンサンブルは必要最低限なアレンジがなされているが、いかんせんメンバーが消化しきっていない歯切れの悪さを見せる瞬間もある(特に2曲目)。 この「練り」の少なさも、他のメッセンジャーズの諸作と比較すると、いささか軽量級なニュアンスが漂ってしまうのかもしれない。 本作は、メッセンジャーズのいわば「暗黒期」と呼ばれる時期の録音とされている。 ホレス・シルヴァーがグループを去り、ベニー・ゴルソンが加入するまでの時期が、一般的に「暗黒期」とされているようだ。 では、黄金期は? 最初の黄金期がホレス・シルヴァーが在団している時期。 そして、次の黄金期が、ベニー・ゴルソンが音楽監督として加入し、ピアニスト、ボビー・ティモンズの《モーニン》や、看板曲《ブルース・マーチ》をひっさげて再生した時期。 この2つの時期の端境期に録音された本作は、演奏としてはハードバップの熱気にあふれているものの、「練り」のなさゆえ、「これもメッセンジャーズ?」という一抹の不安と疑問が生じてくるのもまた事実。 結局、この時期のブレイキーに足りないものは、参謀だったのだ。 すなわち、音楽監督。 初期はホレス・シルヴァー。 《モーニン》の時期はベニー・ゴルソン(ts)。 ゴルソンと入れ替わるようにウェイン・ショーター(ts)が加入し、モードスタイルを導入しつつバンドを牽引していった。 このアルバムのマクリーンは、たしかにプレイヤーとしては優れたジャズマンだが、徹頭徹尾プレイヤー資質のアルト吹き。ショーターやゴルソンのようなアレンジ力でバンドのカラーを出してゆこうとするタイプではない。 「暗黒時代」のメッセンジャーズに足りない要素は、プレイヤーではなく、アレンジャー的な「頭脳」だったのだ。 グループを個性づける強力なコンセプション、方向性、創造性。 そういったものが不足したまま、マクリーンの加入だけで新しさを打ち出そうとした新生メッセンジャーズの演奏は、せっかくのメンバーの優れた演奏も、まとまるべき方向が定まらぬまま、グループとしてのサウンドを強力にリスナーにアピールするまでには至っていない。 だからこそ、メッセンジャーズ色の薄れた、いわゆる典型的なハードバップ的な趣きの内容に仕上がっているのだろう。 ただし、それはあくまで、メッセンジャーズというカンムリにこだわってこのアルバムを捉えた場合の話であって、普通の気分でジャズを聴くぶんには内容的には何ら支障のない優れた演奏が揃っている。 特に、マクリーンのリーダー作に聴こえると書いたように、彼の頑張りっぷりはすごく、彼のアドリブには熱くこみあげてくるものがある。 とくにスローテンポの《ミラージュ》が良い。 演奏曲はブルースなし、スタンダードもなし。 かわりに、すべてジャズマン・オリジナルで占められ、マル・ウォルドロン(p)や、レイ・ドレイパー(tuba)の曲を中心に取り上げられている。 2管ゆえ、テーマ部のアンサンブルは一応アレンジされているが、簡単なヘッドアレンジ程度という印象。 また、リハーサル不足のためなのだろうか、2曲目のテーマにおけるマクリーンとハードマンのアンサンブルが危なっかしく、それに引きずられるかのように、マクリーンのアドリブにも冴えがない。 同じことを何度も言い直し、気の効いたセリフの一言でも言おうと暗中模索している間に、自分のアドリブパートが終わってしまった、というような印象。 しかし、それ以外の演奏は比較的快調なマクリーンを楽しめる。 マクリーンと音のバランスの上でも申し分のないビル・ハードマンのトランペットも、なかなか聴かせてくれる。 コンボ以上の迫力とクオリティを聴かせてくれるコンボ。 これがブルーノートから発表された多くのメッセンジャーズの音源の印象だとすると、サヴォイの『ミッドナイト・セッション』は、 等身大の、正しくコンボのサウンドを楽しむコンボ編成の演奏 といえるだろう。 |
| (2007/08/13) (加筆修正:2009/12/03) |
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