CHET BAKER SINGS IT COULD HAPPEN TO YOU (Riverside) |
| - Chet Baker |
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Chet Baker (tp,vo) Kenny Drew (p) George Morrow (b) Sam Jones (b) Philly Joe Jones,Danny Richmond (ds) 1958年8月 |
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アクビが出るほど気持ちよい。 これがこのアルバムを形容する、もっとも適切な言葉だと思う。 よく言えば“気だるい”の一言ですまされそうだが、よく聴けば、いや、よく聴かなくても、歌といいトランペットといい、かなり危なっかしい。 意図的なのか、それとも録音中はラリっていたのか(この頃のベイカーは、すでに重度のジャンキーだった)、このやる気のなさげながらも不思議な魅力を漂わせるサウンドは、チェット・ベイカーだからこそ許された世界なのだろう。それもギリギリの範囲で。 フラットしまくる歌の音程のヤバさ、息もたえだえな病人のようなスキャット……。 ……悪くはないかもしれないが、 「あれ?ちょっとヘンだぞ?」 と気付かない人がいたら、きっとこの歌以上にヘタくそでダメダメな音楽ばかりに冒され、感覚が麻痺しちゃっているんでしょう。 コンビニやファーストフードに慣れた舌には、シェフの手抜きや、板前の腕の落ちが分からないのと同様に。 いうまでもなく、「歌唱」という純粋に技術的な側面だけで評価するとしたら、チェットの歌い方は、かなりヒドい。 ヴォーカルスクールの先生、真っ青って感じだろう。 しかし、それが音楽として悪いのかというと、かなり微妙なラインだが、決して悪いわけではないのだ。 そう、このアルバムでの歌唱は、チェットだけに許された世界。 凡人が雰囲気だけを安易に真似をしても、アホか白痴か勘違いかと思われてそれでオシマイ。 本当に紙一重でギリギリの線をベイカーは綱渡りしている。 ふあわぁ〜っとアクビをしているかのように音を伸ばすタイトル曲は、まさにアクビが出るほと気持ちよく、場合によってはアクビが出てしまうほど退屈だ。 危なっかしさに加え、粘着質なベッタリさ加減の加わったタイトル曲の歌唱、あなたはどう聴く? フロントのチェットは危なっかしいが、チェットのラッパや歌が引っ込んだ後に溌剌としたピアノトリオを繰り広げるリズムセクションはなかなか。 ちなみに、ピアノはケニー・ドリュー。 |
| (2007/06/01) |
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