CLIFFORD BROWN WITH STRINGS (Emarcy) |
| - Clifford Brown |
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Clifford Brown (tp) Niel Hefti (arr,cond) Richie Powell (p) Barry Galbraith (g) George Morrow (b) Max Roach (ds) Track1,3,10,11 1955/01/18 Track2,5,8,9 1955/01/19 Track4,6,7,12 1955/01/20 |
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時々夜中にボリュームを落として聴いている。 『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』のしみじみとした演奏は、一人でパソコンに向かってHPを更新したり、読書をするには最適な“BGM”だと思っている。 あるいは、ブランデーやバーボンなどを飲みながら、しんみりと。 “BGM”という表現を使うと、真剣に聴くに値しないどーでも良い音楽とみなされる風潮が無きにしも非ずなので、一応念のため断っておくと、“BGM”と書いたからといって、決してこのアルバムの演奏を軽んじているわけではない。 半ば聞き流すようなカタチで他のことに没頭し、時折、ブラウニーのペットの旋律や音色にハッとして耳をそばだてる。そんな聴き方が自分にとってはベストだと思っているのだ。 こちらは、BGMのつもりで軽く聴いていても、実際この演奏が吹き込まれた背景には並外れた労力が払われている。 このアルバムのライナーによると、1回の演奏でOKになった曲はひとつもなく、《煙が目に染みる》にいたっては11回のテイクでようやく納得いく出来になったのだという。 このような調子では、さすがに一日に全曲分の収録は不可能なので、1日に4曲のペースで3回にわたって録音されたそうだ。 演奏者や、特に主役のブラウニーにとっては、心身ともに磨耗する作業だったに違いない。 いうまでも無くスローテンポのバラードは、演奏者の真価を問われる難しい課題。 音のつなぎ目、間の取り方、音色やフレーズへの情感の込め方。 そして、我々リスナーが勝手に求めてしまう“風格”や“翳り”といった、楽器のコントロール以外の次元で要求されるサムシング。 アップテンポの曲の場合は、リズムにうまく乗れば、ある程度「流す」ことが出来るが、テンポの遅い曲ではそのようなことは出来ない。 だから、残酷なぐらい技量や表現力がリスナーにバレてしまう。 しかし、ブラウニーのラッパは、あくまで原曲の持ち味を殺すことなく、上手にオリジナルのメロディを引き立てている。 旋律をあまり崩さずに、オープン・トランペットで、柔らかく、そして優しく丁寧に歌い上げるブラウニー。 「へぇ、このスタンダード・ナンバーって、実はこんなに良い曲だったんだ」と、逆に彼の衒いの無いトランペットが教えてくれることもある。 アップテンポの曲では、まったく破綻を見せないブラウニーだが、バラードにおいても深い表現力だ。 年季を重ねて、風格も増してこないと、中々バラードを演奏しても味が出ないと思いがちな我々の先入観を、いともあっさりと裏切るブラウニーは弱冠25歳。 本当に素晴らしい表現力を持ったトランペッターだと思う。 ウイントン・マルサリスをはじめとして、それこそ数え切れないほどのトランペッターが、このアルバムを教科書にしたのも頷ける話だ。 《煙が目に染みる》、《ホワッツ・ニュー》、《スター・ダスト》…。 どれもが名曲揃い。 メロディに仕掛けを施さず、ただ無心に旋律をいつくしむかのように吹くブラウニー。 心を込めて、何テイクも録り直しをしながら、全身全霊をかけて。 こうして苦心の末に生み出された演奏を、ある時はなんにも考えずにホワーンと心温まるラッパに浸り、またある時は、読書のBGMがわりにしている私はなんと贅沢なことか。 ストリングスの編曲・指揮を担当したのはウディ・ハーマン楽団やカウント・ベイシー楽団に名編曲を提供したことでも有名なニール・ヘフティ。 ストリングスの編成はヴァイオリン6、チェロ1、ヴィオラ2だ。 あくまでブラウニーのトランペットを引き立てることに主眼においたアレンジには好感が持てる。 |
| (2002/11/14) |
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