CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH (Emarcy) |
| - Clifford Brown=Max Roach Quintet |
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Clifford Brown (tp) Max Roach (ds) Harold Land (ts) Richie Powell (p) George Morrow (b) #1,2 1954/08/02 #6 1954/08/03 #4,5,8,9 1954/08/06 #3 1955/02/24 #7 1955/02/25 |
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名曲揃い、名演奏揃いの好盤だ。 クリフォード・ブラウンとマックス・ローチのクインテットの素晴らしさを出来るだけ簡潔に伝えるとすると、混じりっ気の無いほど純粋で、新鮮で、爽快で、濁りの無い、正しくイキの良いジャズとでも言うべきか。 本盤は、ブラウンとローチの何枚かの作品の中では、一番内容が濃く、充実していると思う。 個人的にはブラウン作曲の《ダフード》が好きなこともあり、『スタディ・イン・ブラウン』と共に愛聴している一枚だ。 テナーのハロルド・ランドもアーシーで良い味を出しているし、バド・パウエルの実弟、リッチー・パウエルも好演。 クリフォード・ブラウンのプレイは、トランペットという楽器の特性を100パーセント出し切っているかのごとく、明るく、ハリと厚みのある音色に加え、フレージングも流れるようにメロディアスで、破綻の無い安定したプレイを聴かせてくれる。 もっとも、これはこのアルバムに限ったことではないが……。 マックス・ローチというドラマーは、私は、ロリンズやサド・ジョーンズらがリーダーのアルバムを先に聴いていたため、どことなく無機質で無愛想なドラマーだというイメージを抱いていたが、ブラウンとの共演を聴いてそれはとんでもない誤解だということに気が付いた。 彼はとてもメロディアスなドラマーなのだ。 特に、このアルバムで演奏されているどの曲でも良い、テーマの部分を注意して聴いてみよう。 単にリズムを刻むだけではなく、効果的にメロディを浮かび上がらせるドラミングをしていることに気が付くはずだ。 かといって、あまりメロディに寄り添い過ぎたドラミングは「イモ」なドラムになってしまうが、さすがにローチは、そこらへんの手綱加減は一流だ。 個人的には《ザ・ブルース・ウォーク》」と《ダフード》のテーマを叩くローチのドラミングが好きだ。 メロディにより一層立体感と奥行きを出していると思う。 聴きどころはたくさんある。 《デライラ》の抑制のかかったテーマ部。 ブラウンのミュートをつけた音色が魅力。 バド・パウエルの名曲《パリジャン・ソロフェア》が面白いアレンジとなって甦っているところ。ちょっとコミカルな感じに感じるのは、セカンド・リフの「あのメロディ」のせいだろうか? 《ザ・ブルース・ウォーク》の溌剌とした演奏、そして、ラストのテーマ前の、トランペットとテナーのチェイスがスリリングだ。 このような何の変哲もないブルースを、立体的で奥行きのあるアレンジに構築しているところが、ブラウンとローチのクインテットならではのバンドカラーなのだと思う。 つまり、このようなありふれたコード進行のブルースは、惰性でいくらでもアドリブをとれてしまうものだが、マンネリ演奏に陥ることを防ぐためなのだろう、ドラムが張りきって第2のメロディを叩きだしているかのようなテーマのアレンジや、ブラウニーのアドリブ中に、ハロルド・ランドがオブリガードで合いの手を入れるなど、演奏にメリハリを設けて、聴く者を飽きさせない仕組みになっている。 おそらく、彼らはビッグバンドのアレンジを参考にし、少人数のコンボ編成にその手法を持ち込もうとしたに違いない。 先ほど「第2のメロディ」と記したが、《ダフード》の格好いいメロディをより一層引き立てているマックス・ローチのドラミングも素晴らしい。このようなドラムを聴くと、この人はとことん、メロディアスなドラマーだと思う。 《ジョイ・スプリング》のリラックスしたハロルド・ランドのプレイと、メリハリとスピード感の緩急が抜群なブラウンのトランペットは素晴らしいと思う。 デューク・ジョーダンの名曲《ジョードゥ》の破綻の無いブラウンのプレイと構成力にも舌を巻く。 これってホントに即興演奏? ハイ、こんなに完璧でも、即興演奏なのです。 デューク・エリントン作曲の《ホワット・アム・アイ・ヒア・フォー》は、流れるように短めなソロが次々とバトンタッチされてゆく様が、とても気持ちが良い。 もし、ジャズのアルバムを何枚か聴いたが、自分はどうもジャズを好きになれないと感じている人がいれば、ジャズに別れを告げる前に、黙って『クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ』を最後に聴いて欲しい。 そんな余計なお節介を焼きたくなるほど、素晴らしい曲と演奏が凝縮されたアルバムなのだ。 |
| (2002/05/13) (加筆修正:2010/02/24) |
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収録時間を見ていたら気がついた。 《ダフード》の演奏時間、 マスターテイクが4分7秒で、 オルターネイトテイクが4分8秒。 同じ曲、同じテンポとはいえ、たったの1秒しか演奏時間に誤差がないのだ。 マックス・ローチというドラマーは恐るべきタイム感覚の持ち主だと驚嘆せざるを得ない。 しかも、凄いことに、両テイクを聴き比べると、ドラムの勢いがまるで違うのだ。 あきらかにマスターテイクのドラミングのほうが躍動感に溢れている。 マスターテイクでのローチは、ブラウニーをはじめとした各ソロ奏者を焚きつけるかのように煽りまくっている。 そのためか、ブラウニーのアドリブは、両テイクともに基本的には同じアプローチにもかかわらず、マスターテイクでの演奏のほうが数段イキが良いし、テナーのハロルド・ランドやピアノのリッチー・パウエルのアドリブも、音の勢いがまるで違う。 シンバルの刻みや、スネアを叩くタイミング一つでも演奏の勢いが変わってしまうということが、オルターネイト・テイクを聴いた後に、マスター・テイクを聴くとよく分かる。 こんなにも演奏の勢いが違うのに、しかも、演奏が勢いづくと、プロのミュージシャンでも、演奏テンポが走りがちなのに、きっちりと、前の演奏と変わらぬタイムをキープし続けたローチのタイム感覚と、ドラミングの正確さには脱帽。 しかも、正確さを保ちながらも、勢いも増しているのだから。 ブラウン&ローチのカルテットは、演奏のダイナミクスと一体感が気持ち良いほど両立したコンボだが、それにしても、この《ダフード》のオルターネイト・テイクを聴いたあとに聴くマスターテイクは、恐ろしいほどに完璧な内容に仕上がっていることに気がつく。 レギュラーメンバーが固まった2ヶ月後の演奏とは、にわかには信じがたいほどだ。 ちょっと変則的な楽しみ方かもしれないが、『クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ』のCDをお持ちの方は、是非、聴き比べてみてください。 |
| (2004/09/21) |
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