THE THIRD DECADE (ECM) |
| - Art Ensemble Of Chicago |
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Lester Bowie (tp,flh,per) Joseph Jarman (reeds,flutes,syn) Roscoe E. Mitchell (reeds,flutes,per) Malachi Favors Maghostut (b,el-b,per,melodica,per) Famoudou Don Moye (ds,per) 1984年6月 |
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アート・アンサンブル・オブ・シカゴ(以下AEOC)のベーシスト、マラカイ・フェイバースが亡くなった。 2004年1月30日。シカゴのイリノイ・マソニック病院にて、肝臓ガンのため死去。 享年76歳。 一瞬、「え!彼ってそんなに年だったっけ!?」と耳を疑ったが、実際の彼の年齢は、ほかのメンバーよりも10歳近く上だったようだ。 これは、彼の娘のメルバ・フェイバース・アレンさんからの指摘によるものだ。 1937年8月22日のシカゴ生まれとされていたが、正しくは1927年8月22日、ミシシッピのレキシントン生まれなのだそうだ。 レスター・ボウイが41年、ロスコー・ミッチェルが40年、ジョセフ・ジャーマンが37年、ドン・モイエが46年生まれ。 他のメンバーと比べると、ひとまわり、あるいは一回り以上年長だったというわけだ。 マラカイは、AEOCのベーシストで、ルックスもパフォーマンスも一番ユーモラスな人だったので、他のメンバーよりも幾分か年下だったのかと思っていたが、実際はその逆だった。 顔にペインティングが施されると、年齢なんて全然分かりませんですね。 1999年の11月に、リーダー格のレスター・ボウイが亡くなっている。 AEOCのメンバー、これでもう2人も逝ってしまった。 彼らのデリケートで爆発的な音の芸術をもう味わえないのかと思うと、とても寂しい。 ことに、私はAEOCのメンバーの中では、マラカイが一番好きだったのだ。 ブリジット・フォンテーヌの『ラジオのように』は、AEOCがバックをつとめる素晴らしいアルバムだが、彼女の歌のバックで大活躍していたのが、マラカイの腰にくるベース。 これを聴いたときから、私は一発で、AEOCの、いや、マラカイのべースの虜になってしまった。 ピッチと、じわじわと暖かくウネルベース。 AEOCは、ピアノやギターなどのコード楽器がいないグループだ。しかも、3人の管楽器による恐ろしくスポンティニアスな即興演奏を支えなければならない。 そのような環境の中、彼は自分の役割を充分に認識していたのだろう。AEOCでの彼のベースラインは、比較的オーソドックスで、曲のトーナルから逸脱することなく、本当に基本的なコードトーンを中心として形成されていた。 そこがまた、ベースをやっている私からしてみれば、魅力的だった。この思いやりのある音選びのセンスに、彼の人柄までをも見る思いだったのだ。 そんな彼が亡くなったので、とても悲しい。 謹んで冥福をお祈り申し上げます。 久々にAEOCを聴こうと思い、手にしたのは『サード・ディケイド』。 マラカイを偲ぶには、《ジンボ・クウェシのための祈り》が、もっとも相応しいと思ったからだ。 ジョセフ・ジャーマン作曲のこの曲は、とても静かでちょっと宗教の儀式っぽい響きもする。ホーンだけではなく、シンセの音色もかぶせられ、荘厳な感じもする。 曲の中盤からマラカイのベースが登場。 ラストになると、AとGという単純なコードの反復にあわせて、コードトーンを丁寧になぞるベースが魅力的だ。 優しく、柔らかく、丁寧に奏でている。 まさに、亡き名ベーシストを偲ぶには相応しい曲だと思い、私は静かにこの演奏を聞き入った。 『サード・ディケイド』は名盤だ。 少なくとも、とても面白いアルバムだと思う。 タイトルの由来は、60年代に発足したこのグループが、足かけ3つめのディケイド(10年)を迎えたという意味を込めてつけられた名前だ。アルバムのラストナンバーでもあり、この曲はドラムのドン・モイエが中心となって作られた曲。 にぎやかでエネルギーに満ちた演奏は、アルバム中もっともAEOCらしい演奏といえる。 ファンキーなリズムとベースが奏でられるその名も《ファンキーAEOC》。 フリューゲル・ホーンを奏でるレスター・ボウイはちょっとマイルスっぽい。というよりも、ファンクっぽい8ビートにラッパがからめば、自動的にそれっぽくなるのかもしれない。 アルバム中、もっとも4ビートのジャズのフィーリングを感じる《ウォーキング・イン・ザ・ムーンライト》では、各々のメンバーの持ち味が楽しめる。 背後にたくさんのベルが鳴る《ザ・ベル・ピース》も気持ちよい。 この金属的な涼しさは、とてもガムラン的だ。 もちろん、演奏そのものは全然ガムラン的ではないが、ゆったりとくつろげる楽園的な心地よさがある。 多彩な彼らの魅力がコンパクトに凝縮された『サード・ディケイド』。 ジャケットのイラストも可愛い。 しなやかで、柔軟な彼らの力量とセンスを腹いっぱいになり過ぎずに、気軽に楽しめる、一枚だ。 |
| (2004/04/25) |
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