彗星パルティータ (Any Old Time) |
| - 阿部 薫 |
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阿部薫 (as) 1973年3月 |
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私はサックスを吹かないし、吹けないから、よく分からないので、サックスのソロの即興演奏のライブをやっている人の話の受け売りを書きますと、感情が昂まってきたときに阿部薫っぽいフリーク・トーンを出すことは、それほど難しくはないのだそうです。 でも、音色はともかくとして、難しいのは“スピード感”なのだそうで。 “スピード”ではなくて、スピード“感”のほう。速弾きではなくて、一音一音の持つ鋭利さのようなもの。 研ぎ澄まされすぎているのです、彼のサックスは。 生前、阿部薫は、「もっと速くなりたい」というようなことを言っていたとか。 一音一音の音の音圧もたしかに凄いけれども、重力から必死に逃れようと、体内のジェネレーターの出力を急ピッチで上昇させ、スピードの限界に挑んでいるような切迫感を常に感じます。 これがクルマや飛行機や宇宙船のような乗り物だと、いずれは機体が軋み、ネジが緩み、きっと最後にはバラバラに分解してしまうのだろうけれども、阿部薫の場合は、肉体の共振に楽器がついてゆけず、一度演奏中にサックスのパーツがバラバラに分解してしまったこともあるのだそうです。 レースもそうだけども、速度に挑むことは、すなわち死と隣り合わせの行為なのかもしれません。 『彗星パルティータ』の阿部薫のサックス。 スピードの臨界点に近づけば近づくほど、冷たく鋭利な光彩を放ちます。 |
| (2003/07/31) |
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