阿部 薫の表現に「分かりやすい」も「分かりにくい」も無いのだが、本作は阿部のサックスの特徴を比較的掴みやすい内容なので、個人的には愛聴している。
阿部は、アルトサックスのほか、ギターやピアノをかき鳴らしたり叩いたり、また、バスクラリネットやハーモニカもプレイするが、やはり、個人的にはアルトサックスのプレイが一番好きだ。
よって、このアルバムは3曲ともアルトを吹いているのが個人的にはポイントが高い。
阿部 薫のサックスといえば、「咆吼」という言葉がピッタリだ。
しかし、この日のライブハウス「騒(がや)」でのプレイは、苛烈で凝縮された暴力的なまでのスピード感だけではなく、"間"を効果的に使った"静寂"が生きている。
特に2番目の演奏。
沈黙と、ふとした瞬間に見せるサックスの表情の微妙な違いが、「暴力性」とは対極の「叙情性」も垣間見ることが出来、興味深い。
3番目の、奇妙な形に歪められた「風に吹かれて」。
このグニャリと捻られたテーマを聴くたびに、どうしてもアルバート・アイラーを連想してしまう。
バックにリズムセクションがつくとどんな内容になったのだろうか、などと想像をめぐらせながら聞くのも楽しい。