AMAZING TOSHIKO AKIYOSHI (Verve) |
| - 秋吉敏子 |
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秋吉敏子 (p) Herb Ellis (g) #1-8 Ray Brown (b) #1-8 J.C.Heard (ds) #1-8 Gene Cherico (b) #9-12 Jake Hanna (ds) #9-12 #1-8 1953/11月 Tokyo #9-12 1957/07/05 live at Newport Jazz Festival |
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秋吉敏子の初リーダーアルバムで、なにを隠そう個人的な偏愛盤だ。 まだ自分のスタイルを確立していない時期の秋吉敏子のピアノ。というよりも、彼女のピアノは、もろバド・パウエルだ。『ジャズ・ジャイアント』や『バド・パウエル・トリオ』といった初期のパウエルを濃厚に感じる。 いや、パウエル以上にパウエルを感じる瞬間すらある。 このアルバムは、大きく分けて2つのパートに分けられるが、特に1953年の録音にはそれが顕著。そして、私は後半の1957年にニューポート・ジャズフェスティヴァルで録音されたライブ演奏よりも、前者の東京で録音されたほうの演奏を愛聴している。 オリジナリティが一にも二にも重要視されるジャズにおいて、先人の「コピー」に近い演奏をお気に入りなのは、ジャズファンとしては、オカシイことなのかもしれない。 この録音からだいぶ後にはなるが、やがて彼女にしか出せないオリジナリティを獲得し、世界に大きく羽ばたく秋吉敏子。自己のビッグバンドを率い、ジャズに「和」の要素を融合させたスケールの大きなサウンドこそが、ミュージシャン・秋吉敏子の本質で、まだ修行時代の「修作的な作品」を愛しても仕方がないじゃないか、パウエルのモノマネ時代の秋吉敏子を好きなのは彼女の本質を理解していないのではないか、と突っ込まれても仕方がないと思う。 しかし、分かっちゃいるけど、好きなんです。スタイルを確立する以前の、パウエルに憧れ、無心にパウエルをコピーし、まるでパウエルの生霊が乗り移ったかのような演奏が。 パウエルが弾いたピアノの音の並びだけではなく、気迫までをも吸収し、吐きだしているかのような勢い溢れる演奏なのだ。 なんというか、音のアタック感、とくに左手のゴリゴリした迫力なんて、パウエル以上ともいえるかもしれない。 オスカー・ピーターソンが、この時期の秋吉のピアノをラジオで聴いて、驚いたのも頷ける話だ。その後、ピーターソンはヴァーヴの社長のノーマン・グランツに熱心に彼女を勧め、このアルバムのレコーディングが実現したわけだ。 彼女の自伝などを読むと、当時はジャズのレコードは高くてとても買えなかったので、馴染みのジャズ喫茶でレコードを繰り返しかけてもらいながら採譜したのだそうだ。 こういう苦労を重ねて、パウエルを自己の血肉にしていったのだなと思うと、ますます、このパウエル的なトシコにいとおしさを感じてしまう。 もちろん、後半のニューポートでのライブも良い。 可憐な《ローラ》、しみじみとした愛すべき《四月の思い出》。 特に《四月の思い出》は、彼女自身がMCで「ビューティフル・チューン」と紹介しているが、ほんと、ビューティフルなチューン(曲)というよりは、ビューティフルな演奏だと思う。 恥じ入るような小声で曲目を紹介する秋吉の声も可愛らしい。 ニューポートのライブでは、パウエル一色だった4年前の演奏とはうって変わって、角が取れた、エレガント女性らしい演奏となっている。 ゴリゴリの勢いに溢れるトシコと、やさしく穏やかなピアノを奏でるトシコ。肌触りの違う両方の演奏を一枚のアルバムで味わえる至福はなにものにも変えがたい。 デヴィッド・ ストーン・マーチンのイラストによるジャケットのイラストも素敵だ。 |
| (2004/06/08) |
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