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『松ヶ根乱射事件』試写レポート


先日試写で観た『松ヶ根乱射事件』が面白かった。

監督は、山下敦弘。
この監督の持ち味には独特なものがあります。

生あくびが出てきそうな、独特の間と距離感。微妙な温度を保ったまま、淡々と物語を進行させる、山下監督の持ち味が、絶妙に生きていました。

山下監督の前作の『リンダ・リンダ・リンダ』では、この間延びしたようなテイストや、手法は空回りしていた感があり、個人的にはあまり好きにはなれませんでしたが、今回の『松ヶ根乱射事件』は「こんなこと、この監督にしか出来ないんだろうなぁ」と思わせるほど、生アクビ度全開! 素晴らしい!

中途半端な田舎町のしょーもない出来事・日常を、折目正しく、しょーもなく映画としてキッチリと切り取っているんですよ。

生ぬるい笑いにクスリとしているうちに、過ぎ去るあっという間の2時間弱。

まぁ、独特な作風ゆえ、好き嫌いの評価は分かれるでしょうが、私は嫌いじゃないな。
なかなかよく出来ていると思いました。

私個人の好き嫌いで言うと、登場人物のキャラクターや彼らの言動、舞台となる中途半端な田舎町など、映画に登場するほとんどが好きになれません。

それどころか、映画の中に出てくるあらゆるコトガラが忌々しいぐらい。
正直、大嫌いなものばかり。

それなのに、編集手法次第では、そういったものも面白く切り取れるんだなぁと思わせてくれるという、不思議かつ稀有な映画です。

普通、「いい!」と思った映画には多少なりともキャラクターや風景を好きになるものですが、この映画には見事にそれがない。

なんなんだよ、この登場人物。
なんなんだよ、このロケーション。
なんなんだよ、このカメラワーク。
なんなんだよ、このセリフ。

いちいち、「なんなんだよ」の連続です。

それなのに、トータルでは面白い!と思わせる手腕。
これは一体、なんなんだよ!?
タダモノではないよ、この映画。

ニヤリ笑い、クスリ笑い、毒のある笑いを浮かべたい人は、是非ごらんになってください。

唯一の不満は、あのラスト。もう少しだけ、インパクトあってもイイんじゃない? とも思うんだけど、よく考えると、あのアッサリさ加減でいいのかな? とも思うようになってきた。

〔観た日:2006/12/18〕 
(記:2006/12/20) 
(加筆修正:2008/08/02)