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椎名林檎のアルバムで一番お気に入りなのは、
『加爾基 精液 栗ノ花』だが、
これはあくまで、トータルで見た話。
アルバムのコンセプトとか、
全体の統一感とか、
雰囲気とか、
そうしたトータルのバランスと、
音楽的完成度、
パッケージとしての完成度は、
他のアルバムと比べると群を抜いていると感じる。
そして、周到に練られたアレンジと選曲ゆえ、
最初の曲から最後の曲までをトータルで楽しめるのが『加爾基 精液 栗ノ花』なのだ。
だから、このアルバムの中で「ものすごく好きな一曲」を言えといわれても、じつは、単曲のレベルでは、それほど思い入れのある曲はない。
単曲レベルで好きな曲、思い入れのある曲は、
むしろ、『無罪モラトリアム』や『勝訴ストリップ』のほうが多かったりする。
アルバムには未収録の曲に《すべりだい》という曲がある。
マキシシングルの『幸福論』に収録されている曲だ。
この曲は、私がもっとも好きな椎名林檎の曲の一つ。
歌詞もメロディもアレンジも声も、なにもかもが最高。
とくに、ギターソロが終わった後の後半部あたりから、
自分の中では以上にテンションが高まってくることを自覚し、
♪記憶が薄れるのを待っている
あたりで、自分の中の切なさのボルテージは最高潮に達する。
1日20回以上リピートさせたこともあるほど好き。
友人の訃報に接した後は、
ぼーっとこの曲をリピートしながら
石油コンビナートの煙突をぼーっと眺めていたこともある。
あらゆる面で、
私の日常のシチュエーションと
感情にリンクし、
すべりこんでしまった曲なのだ。
(記:2005/07/03)
(加筆修整:2008/05/14)
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