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たくさんの音楽を聴いてきたつもりだが、いまだに、戸川純以上の歌うたいを私は知らない。
こればっかりは、美空ひばりやビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルドが束になっても敵わないのだ。私の頭の中では、ね。
エキセントリックな歌唱の中から見え隠れするのは、噎せ返るほどの甘くて饐えた香りのする女の情念と、爽やかですらある不思議な諦観。
椎名林檎がデビューしたての頃も、私は戸川純の文脈で聴いていたし、この文脈があったからこそ、彼女のファンになれたのだと思う。
もちろん、聴いているうちに、両者は似て非なるキャラクターだということにすぐに気づいたが(当たり前だ)……。
とにもかくにも、変幻自在に7色に変わる声色と世界観は、いま聴いてもなんと新鮮なことか。
《愛のコリーダ》。
「レインボー戦隊ロビン」のテーマをこんなふうに替え歌しちゃうのは彼女だけだろう。
ニヒヒヒと、いびつな笑みを浮かべた貴方の深層心理に浸透してゆく戸川的世界観。ファーストの『玉姫様』も良いが、2枚目の『好き好き大好き』も、たまらんキッチュな世界を放射しまくっている。
(記:2004/01/02)
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