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ライブレポート:
ハンク・ジョーンズ・トリオ


2004年の2月4日(水)、ブルーノート東京で行われたハンク・ジョーンズ・トリオのライブへ行ったきた。

ハンク・ジョーンズのピアノ、とても良かった。
べつに年齢で音を聴いているというわけではないけれども、それでも、とても85歳とは思えないほどの、溌剌としたタッチと、見事な構成力にはやはり驚きを禁じえない。

ガンガン弾かなくても、音の一音一音が“立って”いるのだ。
ピアノの音にとても存在感がある。
しかも、アドリヴには明快なストーリーがある。きちんと構成を練った上で、ダイナミクスと緩急を心憎いほどつけながら演奏していることがよく分かる。

いやはや、本当に素晴らしかった。

しかし、しかし。
どうも、リズムセクションがイマイチだった。
もちろん、ベースのジョージ・ムラーツにしろ、ドラムのデニス・マクレルもベテランだ。
とくに、ジョージ・ムラーツは私の大好きなベーシストだし、素晴らしいベーシストだと思っている。
しかし、ジャズマンの演奏技量の問題云々ではなく、このトリオにかぎって言えば、なんとなく、まとまりが無くてバラバラというか、拡散的な感じがして、一つのグループとしてのまとまりに欠けているような気がした。
一体感がイマイチ。

我々の近くの席の若者のグループが、ライブ終了後に「いやぁノリノリだったね」と嬉しそうに話し合っていたが、思わず「どこが!?」と突っ込みを入れたくなるほどだった。

ハンクのピアノが素晴らしいだけに、彼らはハンクのピアノの芯の部分まで切込めきれず、特にドラムにそう感じたが、なんとなくピアノの音の表面の部分だけをツルリと器用に撫でているだけにしか感じられなかった。

それがちょっと残念。

どうも、ムラーツもマクレルもテクニシャンなだけに、小型で性能と小回りの良い軽自動車なイメージを感じてしまった。
もちろん、日本車。
快適でコストパフォーマンスは高そうなんだけど、それだけって感じで。
間違っても、無意味にデカくて燃費の悪い昔のアメ車ではない。

昔のベーシストになっちゃうけど、サム・ジョーンズとか、リロイ・ヴィネガーとか、エディ・ジョーンズといった、大きなウネリと波動を持ったベーシストこそが、ハンクのピアノを活かせるんじゃないだろうか、という無いものネダリを想像の中でしてしまった。

そうそう、サム・ジョーンズといえば、『サムシン・エルス』(Blue Note)という大名盤がありましたですね。マイルスとキャノンボールの。
ピアノがハンク・ジョーンズで、ベースがサム・ジョーンズ。

思わず、帰宅してから、聴いてしまいましたよ。
やっぱり、いいわ。
こんなことからも、昔の名盤の価値が私の中では高まってしまった。

しかし、もちろん、先日のハンク・ジョーンズのピアノだけは良かったと思う。
老いてなお微速前進というか、明らかに、スタイル、表現内容が、昔よりも洗練されてきている。
それは、本当にすごいことだと思った。

生で聴けて良かった。


■ハンク・ジョーンズ・トリオ 2004/02/04 at Blue Note Tokyo

 ハンク・ジョーンズ(p)
 ジョージ・ムラーツ(b)
 デニス・マクレル(ds)

▼演奏曲(セカンド・ステージ)
 SIX & FOUR
 INTERFACE
 A CHILD IS BORN
 ON GREEN DOLPHIN STREET
 MY FUNNY VALENTINE
 SCRAPPLE FROM THE APPLE
 PRELUDE TO A KISS
 LONELY MOMENTS
 WINDFLOWER
 INTERLUDE
 OLEO(アンコール)

(記:2004/02/07)