|
『地下鉄のザジ』という映画がある。
そのタイトルからもじられた作品には幼少より触れていたにもかかわらず、肝心な原典に辿り着くまでには随分と遠回りをしてしまった映画だ。
私は、幼稚園の頃は、名古屋に住んでいた。
地元の名古屋テレビが放映していた『ブンブンとバンバン』という番組を私はよく見ていた。『お母さんといっしょ』、『ピンポンパン』、『ポンキッキ』のような幼児番組なのだが(出演したこともある)、その番組の中の連載人形劇のコーナーに「地下鉄のドジ」というコーナーがあった。
この主題歌が幼心にカッコよくて、ストーリーは忘れてしまったが、歌の一部なら今でも歌えるぐらいだ。
歌の出だしの、
♪ゼロ番線の地下鉄の 行き着く先はどこですか?
この、「ゼロ番線」という言葉が謎めいていて、子供心にカッコ良いと思っていた。
私が中学生の頃、角川映画の『時をかける少女』で一躍時の人となった原田知世。
人気に便乗して、毎年彼女の誕生日には「バースデイ・アルバム」がリリースされていた。
たしか、2枚出していたと思うが、松任谷由美(「タンデライオン」「守ってあげたい」)、坂本龍一(「リセエンヌ」「クララ気分」←良い。)といった豪華ミュージシャンが曲を提供していた。
中でも私は、大貫妙子が提供していた曲が一番好きだった。
可愛らしいメロディと印象的なサビ、曲のタイトルは「地下鉄のザジ」。
幼少時の記憶の中の「地下鉄のドジ」、そして原田知世が歌う「地下鉄のザジ」という曲がキッカケで、本当はフランスの映画に『地下鉄のザジ』という映画があることをはじめて知り、初めて原典の映画を観たのが大学の頃。
ナンセンスなドタバタコメディといった感じの映画で、随所に斬新な映像の実験(というかお遊び)が散りばめられている。
特筆すべきは、ザジ役のイタズラ少女、カトリーヌ・ドモンジョ(ドロンジョじゃないよ)。
可愛い!!
イタズラ笑顔でパリの街をかけずり回っているザジと、彼女に翻弄される大人たちの姿は何度観ても楽しい。
大貫妙子の「地下鉄のザジ」の歌詞が、そのままザジという女の子と映画の説明になっているので、要所を抜粋。
- 大人たちの間かけ抜け、小さな事件いっぱいおこす
- 太ったムッシュゥびっくり仰天
- 退屈嫌い
- メソメソしない
- イタズラ大好きなの
- 男の子みたいな街の冒険者
- 不思議な少女
- 風に乗って、ルンルンステップ
- 遊び疲れて、私のおうち忘れちゃった
- ついてないメトロは、ストの真っ最中
- 私のジェット・コースターを返して
- いつまでも街の冒険者…
後は、映像を観てもらうしかないのだが、口や文書であれこれ説明するよりも、「まぁだいたいこんな感じの映画です」と、原田知世が歌う「地下鉄のザジ」を聴かせたほうが早いのかもしれない。
個人的には「じっくり観て、何かを考える」といった類の映画ではないし、特にストーリーめいた起承転結といったものが無いので、お客さんが来た時などは、DVDを流しっぱなしにして「環境ビデオ」がわりにしているのが常だ。
ふと、会話が中断して画面に目をやれば、それなりに楽しめる場面が多いし、新たな発見も時にはあったりもするし。
それに、パリの男のスーツのコーディネイトのセンスや、着こなしっぷりも参考になるし。
(記:2001/09/09)
|