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しかし、その描写はウソだと思う。
恐竜はヘビと同じ爬虫類だ。その爬虫類の恐竜が、恐ろしい表情を形作る「表情筋」を持っていたとは考えにくい。ほ乳類だって表情筋の発達した動物は、よっぽど進化した動物にならないと持っていないのだ。 私は、その光景のほうが恐ろしいと思うのだが。 どう猛な表情のティラノサウルスが、ブロントサウルスに襲いかかっている絵は、ライオンがシマウマに襲いかかっている光景のように、分かりやすいし、「温度」というか「熱さ」のようなものが伝わってくる。
ところが、ヘビのように無表情で空虚な目を持った恐竜同士の格闘シーンって、なかなか熱さのようなものが感じられないし、なんだか容赦の無い「冷たさ」のようなものを感じてしまう。
ウルトラセブンに登場する「宇宙最強のロボット」と称されるキングジョーにも似たようなニュアンスを感じてしまう。
そして、ポイントは、目。
正確には目ではないのかもしれない。2つのビームを発射するだけの単なる「穴」なのかもしれない。 昭和のウルトラセブンは、ウルトラ警備隊が開発した特殊兵器の力を借りてようやく倒すことに成功するが(「ウルトラ警備隊、西へ」)、私が好きなのは、むしろ平成になってからの戦いだ(「模造された男」)。 そう、30年ぶりのリターン・マッチ。
キングジョー、もとはといえば、ペダン星人が地球に送り込んできた侵略ロボットなのだが、地球人の手によって再び蘇ったキングジョーは、かつての宿敵ウルトラセブンと30年ぶりの因縁の対決を再び繰り広げる。
かつての苦戦が頭によぎるのだろう。変身直後にキングジョーに体当たりをして地面に叩き伏せるセブンだが、すぐにキングジョーとの間に微妙な距離を置き、間合いを慎重に測る。数秒間、セブンとキングジョーとの間に奇妙で静かな沈黙の時間が流れる。
苦戦するセブンの様子を捉えるカメラワークが粋だ。 相も変わらす、規則的に「バッ・バッ」という不気味な発信音を繰り返すキングジョー。奇妙に静かな戦いだ。セブンの闘いっぷりは熱いのだが、漂う雰囲気は「死」を匂わす静けさだ。
辛うじて、キングジョーの右臑にエメリウム光線を命中させることに成功したセブン。キングジョーが撃たれた足に気を取られている間に、隙が出来た。 最終的には、アイスラッガーを何度も何度も胸部の同じ場所に集中的に投げつけて、キング・ジョーはセブンに敗れるのだが、セブンのアイスラッガーもポロリと刃こぼれしてしまうというオチがつく。 キングジョーとセブンの戦いを簡単に文章にしてみると、だいたいこんな感じだが、文字だけでは、この戦いのシーンのスリルや、不気味さや、奇妙な静けさは殆ど伝えきれなかったと思う。 しかし、私の好きな戦闘シーンのベストに入ることは間違いない(ちなみに、もう一つ好きな闘いのシーンを挙げると、カメラがひたすら右へ右へとパンをしてゆく、帰ってきたウルトラマンとムルチによる、どしゃ降りの雨の中での格闘シーン。ウルトラマンのやり場の無い怒りと悲しみが、あの闘い方と、カメラワークで非常に上手く描かれていたと思う)。
考え抜かれたカメラワークと、優れたCG処理。 ゴジラのように、ギャオーと咆吼することもなく、ただひたすら、淡々と強いキングジョーを見ていると、私の思い描く太古の肉食恐竜の姿とイメージがオーバーラップしてしまうのだ。
(2001/09/04)
追記
『平成版ウルトラセブン・模造された男』は、レンタルビデオ屋から借りて観たのだが、セブンとキングジョーとの格闘シーンが強く印象に残っていたので、結局DVDを買ってしまった。
ちなみに、キングジョーの名前は、脚本家・金城哲男の名字をもじってネーミングされたものなのだそうだ。 (記:2001/10/13)
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