|
しかし、マスターはかなりの頻度で額縁の中身を変えているので、店の常連客の何人かは、もしかしたらこの額縁の中身の変化を楽しみにしているのかなぁと思うようになった。 また、この店のマスターは東急ハンズなどの雑貨屋の袋を下げて閉店間際に店にやってきて、客がすべて捌けると、店の間接照明の角度や照明が照らす小物、オブジェの角度や配置をマメに変えたりもしていた。 ボンクラな私は、マスターがオブジェをマメにいじっているのを目の当たりにするまでは、店の中のちょっとした小物の変化には全く気がつかなかった。 また、フラリと店にやってきた同業者とマスターのカウンター越しの会話を偶然耳にする機会があり、話の内容はジャズ喫茶以外にも様々な飲食店の事業を拡大して成功を収めている人の話だったと思う。
その人は仕事も趣味も「喫茶店巡り」。 何故だと思う? 同業者でもあり、競合店でもある他の喫茶店の椅子の高さ、テーブルの高さや面積を測るためだ。 評判の店を訪ねて、従業員の接客態度やサービス、店の内装、メニューの種類や味を細かく調べながら、おそらく椅子やテーブルの寸法を測って自分の店のリニューアルの際の参考にするのだろう。いわゆる市場調査だ。
たかだか店の内装の寸法、それも1センチや2センチの差ぐらいどうってことないじゃん、と思いながら聞き流していた私。
些細なミクロな改良を日常的に行う。 一発逆転ストレートとしては、テレビ・ラジオ・情報誌などのメディアでの紹介という手もあるが、一時的に客が増えて盛り上がることはあるにせよ、やはり大事なのは浮動票とは違う存在、そう、常連客。そして口コミだ。
初めて訪れた客には、また行きたくなるような店づくり。 飲食店にお勤めの方や、お店の経営者がもし読んでいたら、「何だよ、そんなこと当たり前じゃねーかよ」とお思いかもしれませんが、どうかご容赦を。何も知らない学生だった私にはこれらの小さなことでも、別世界の住人の営みのように見えてとても興味深かったのデス。 ジャズ喫茶の話を引き合いにして、何を言いたいのかというと、ホームページの運営は、お店の運営と似ているなあと常日頃思っているということ
このホームページのタイトルを「カフェ・モンマルトル」とした理由もそのへんにある。
趣味が合わなかったり、ページそのものがツマラナかったりすると二度と訪れてくれないところも、お店に似ている。 「今の状態がベストではない」ということを大前提におき、訪問者が抱くテイストを残しつつも、新しいこと、面白いことを常に模索する。これがリニューアルの際に大事な心がけなのではないのだろうか。 幸い、個人ページの大半は、飲食店運営者とは違って、生活に根ざしたリアルな問題ではなく、あくまで趣味の次元でのお話なので、失敗しても物理的なリスクは全く無い上に、失敗したらしたで何度もトライをすることが可能だ。
工夫と努力次第では、訪問者を増やすことが出来るし、たとえ訪問者が少なかったところで、生活に困るということはない。 少数とはいえ、自分の店(ページ)を訪れてくださった方からの意見や激励の言葉はかなり嬉しいものだし、逆に誹謗中傷があっても「しょせん趣味でやっていることだ、イヤなら来るな」と開き直ることだってできる。
趣味だからこそ真剣になれるし、思い切った冒険をすることも出来る。アクセスが増えればなお一層面白い。インスタントではあるが、繁盛している店の気持ちの疑似体験も出来る。 だから、面白い。
これを書いている時点では、自分のホームページを持ってまだ4ヶ月弱という若輩者の私だが、この4ヶ月は随分と色々なことを勉強させてもらった。
(記:1999/07/18)
|